2010.07.24 Saturday
私の教育人生42(果てしなく遠い道)−4「私の本棚・青木豊明『こしの都』」池上惇
━━第42部━果てしなく遠い道━━
4「私の本棚・青木豊明『こしの都』」
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久しぶりの書評である。
青木豊明監修『こしの都―千五百年いにしえ浪漫の旅』Vol.1、丹南ケーブルテレビ・地域文化企画室、こしの都編集部 吉田ときお、坂田守正編集制作、発行 丹南ケーブルテレビ・地域文化企画室。福井県越前市塚町101武生商工会館、2階。2010年3月。134ページ。
本書は、現代日韓交流の原点を解明する古典である。契機は2007年継体天皇即位1500年記念事業であるが、歴史、考古学、地域史研究の成果を結集し、百済最後の都、扶餘と武生との「民際」「グローカル」な交流(上田正昭先生のご指摘。23ページ)によって生み出された。
巻末の坂田守正先生のご指摘によれば、「古代の人達は、日本海の海流により、‘こしの国’と頻繁に交流があって、渡来人の伝えた技術と倭国に存在していた技術が融合し発達してきました。」(編集後記)
2001年に天皇陛下が、桓武天皇の母が百済武寧王の流れをくんでいるとの記述などに、韓国とのゆかりを感じると発言された(20ページ)。両国の深い絆を、いま、民際研究によって蘇生させたのが本書である。
この蘇生にあたって、私が特に注目したのは、次の上田正昭先生のご指摘である。
「大僧正行基のお父様は高志才智といって百済系の方です。母は蜂田古爾比売といって百済系です。」(22ページ)行基は土木技術や医療、福祉の生活技術に優れ、智慧あるものには智慧を。手の職あるものは職を。財を持つものは財を。力あるものは力を。それぞれにもちより、自らの力で、ともに、この世を変えることを奨めた。
行基は、この「知識結い」によって日本の民衆を救済し、俗人をも僧になりうるとする画期的な道場を開き公認させた。世界初の道徳共同態の誕生である。俗人を僧にする、と言う発想は、中国王朝にはなかったであろう。まさに、日韓「民際」ならではの着想である。
聖武天皇が「知識結い」学んで東大寺建立に民衆の協力を得たという歴史。この尊い行いも、日韓民際の賜物であったか。
本書を前に、民際による民衆救済事業の思想とその発展について深く考えさせられた。
これは抑圧されたからこそ生まれた思想ではなかったのか。百済が生活技術によって、悲劇に耐える力量を持っていたこと、そして、その力量が「結い」をもって連帯する倭の文化的伝統と交流する中で、日本固有の貴重な道徳的価値が生まれたのだ。
日本の歴史には、「民際」「グローカル」な交流が重要な役割を演じた。和魂漢才、和魂洋才、仏教や儒教、キリシタン文化の受容などなど、この視点から見直してゆくと、新たな日本歴史が見えてくるのだろう。そして、道徳共同態による現代人の生き方も。
画期をなす労作。坂田先生の御貢献に感謝。
4「私の本棚・青木豊明『こしの都』」
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久しぶりの書評である。
青木豊明監修『こしの都―千五百年いにしえ浪漫の旅』Vol.1、丹南ケーブルテレビ・地域文化企画室、こしの都編集部 吉田ときお、坂田守正編集制作、発行 丹南ケーブルテレビ・地域文化企画室。福井県越前市塚町101武生商工会館、2階。2010年3月。134ページ。
本書は、現代日韓交流の原点を解明する古典である。契機は2007年継体天皇即位1500年記念事業であるが、歴史、考古学、地域史研究の成果を結集し、百済最後の都、扶餘と武生との「民際」「グローカル」な交流(上田正昭先生のご指摘。23ページ)によって生み出された。
巻末の坂田守正先生のご指摘によれば、「古代の人達は、日本海の海流により、‘こしの国’と頻繁に交流があって、渡来人の伝えた技術と倭国に存在していた技術が融合し発達してきました。」(編集後記)
2001年に天皇陛下が、桓武天皇の母が百済武寧王の流れをくんでいるとの記述などに、韓国とのゆかりを感じると発言された(20ページ)。両国の深い絆を、いま、民際研究によって蘇生させたのが本書である。
この蘇生にあたって、私が特に注目したのは、次の上田正昭先生のご指摘である。
「大僧正行基のお父様は高志才智といって百済系の方です。母は蜂田古爾比売といって百済系です。」(22ページ)行基は土木技術や医療、福祉の生活技術に優れ、智慧あるものには智慧を。手の職あるものは職を。財を持つものは財を。力あるものは力を。それぞれにもちより、自らの力で、ともに、この世を変えることを奨めた。
行基は、この「知識結い」によって日本の民衆を救済し、俗人をも僧になりうるとする画期的な道場を開き公認させた。世界初の道徳共同態の誕生である。俗人を僧にする、と言う発想は、中国王朝にはなかったであろう。まさに、日韓「民際」ならではの着想である。
聖武天皇が「知識結い」学んで東大寺建立に民衆の協力を得たという歴史。この尊い行いも、日韓民際の賜物であったか。
本書を前に、民際による民衆救済事業の思想とその発展について深く考えさせられた。
これは抑圧されたからこそ生まれた思想ではなかったのか。百済が生活技術によって、悲劇に耐える力量を持っていたこと、そして、その力量が「結い」をもって連帯する倭の文化的伝統と交流する中で、日本固有の貴重な道徳的価値が生まれたのだ。
日本の歴史には、「民際」「グローカル」な交流が重要な役割を演じた。和魂漢才、和魂洋才、仏教や儒教、キリシタン文化の受容などなど、この視点から見直してゆくと、新たな日本歴史が見えてくるのだろう。そして、道徳共同態による現代人の生き方も。
画期をなす労作。坂田先生の御貢献に感謝。






