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私の教育人生41(本物と映像)−8「新しい大学院・教師と学生の知識結い」池上惇
━━━━第41部━本物と映像━━━━━━━
8「新しい大学院・教師と学生の知識結い」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 来年の4月から市民大学院を発足させることにした。
 それほど、大げさなものでなくて、知性の豊な人間同士のあたたかな愛が感じられる雰囲気が欲しい。

 今の大学は、サラ金の広告と並んで宣伝をする。電車の広告なども、かなり、派手で、同時に、定員割れを心配する緊張感からか、人の笑顔よりも、缶詰、瓶詰めのラベルで見学精神を表示するなど、物質的で、一種の冷たさが感じられるものも多い。

 なんとなく、瓶詰めされた精神や知識を高い授業料で買うようなイメージである。

 昔は、「大学は駅弁売りのようなもので、はしりゆく学生達に、知識のハコを売るビジネス」といった人が居た。すでに故人であるが、なるほどと、感じたことがある。

 でも、これでは、困るのだ。

 かつて、発生期のイタリアの大学は、社会人である学生達がまちづくりの一環として、コミュニティの高等教育部門をつくり、優れた学術人を教授に起用した。教授の講義などは、コミュニティへの奉仕活動であって、社会人学生は、奉仕への感謝を込めて一人ひとりが支払い能力と、教授への尊敬の念をこめて謝礼を行った。

奉仕と報恩は、教育の基礎であり、人間同士の深い絆である。ともに、人格を高めあってこそ成り立つ関係である。

いま、市民大学院を構想するとき、この原点に立ち戻って構想してみたい。
現代のコミュニティは、義務教育とともに、高等教育、大学院教育にも人材を配置し、社会の資源を配分する。この点では、イタリアと同様である。
社会人が主体となって、寄附金を集め、学術人の参加を求める。

学術的な知識を普及し、次世代の研究者や教師を育てることに関心を持ち、社会貢献として、大学院教育を実践する教師は、社会人への奉仕活動として、教育を行う。

また、社会人など学生は受講者であると共に、教員との共同研究者として位置づける。社会貢献として、講義を提供するので、公共サービスとしての授業内容の質を上げることは、最重要な課題である。

そこで、報恩の精神を持つ社会人や篤志家は、教師と学生の各共同研究単位に対して、寄附を集め、協賛金を積み上げて研究活動を支援する。

「共同研究単位の構築」を支援する研究投資。これによって、講義は、社会人学生のニーズに応えた内容を研究し、講義の準備をすることになる。
共同研究が地域における現場の実態や喜怒哀楽、物語を対象にし、実態を過去の研究成果と照合して、教材を作り上げる。

教材は、現代の情報技術、認識技術を前提すると、書籍だけでなくて、映像の入った電子書籍や、映像、音声録音を伴う象徴型文化資本とならざるを得ない。

市民大学院を媒介として、地域固有の文化資本と、象徴型文化資本が結合され、学術的成果が地域の人々に共有される。これによって、地域固有の文化資本の発見や再生の方向性が見えてくる。これが、本来の大学であり、大学院ではなかったのか。
| - | 02:33 | comments(0) | trackbacks(0) |









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