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私の教育人生41(本物と映像)−6「ケインズによる金貨幣の象徴化」池上惇
━━━━第41部━本物と映像━━━━━━━
6「ケインズによる金貨幣の象徴化」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ケインズは、『一般理論』と題する自著の中で、ミダス王の失敗談として、「拝金主義者たち」を嘲笑した。この王は、強欲で、神様に、自分の手に触れたものは、すべて金に換えてください、と頼んだ。
神様が彼の願いを聞き届けてくださったので、手当たり次第に、椅子や机を金に変えて喜んでいた。しかし、{のど}が渇いたので、水の入ったコップを手に取ると、金になってしまうから、飲むわけには行かない。しまった、と気がついたところで、可愛い孫娘が走りこんできた。喜んで抱き上げたら、金に変わっていた。

さすがの王も自分の誤りに気がついて、「すべてを金に換える超能力」を神様にお返しした、というのである。

金貨幣は、意味のないものの象徴なのだ。

この話は、ケインズが、当時の「古い頭の金持ち」つまり「財産を金貨で溜め込んでばかりいて、リスクの多い投資活動に踏み込めない資産家を攻撃するために持ち出したのである。そして、金貨幣を紙幣に置き換えて、金貨を大事にしていた連中を収奪し、カネは入れば、消費し、あるいは、公債を交わせて政府が資金を手に入れ、大規模公共事業で、雇用を拡充すれば良い、と主張した。この主張も‘まゆつば’ものではあるが、金貨幣の限界を指摘した点では、卓見であろう。

金銭を溜める。それに熱中する。このような連中は、ケインズに言わせれば、溜め込むだけで、満足してしまう。それが安全であって財産が保全できると考えてしまう。その結果、貨幣を積極的に消費に活用し、あるいは、リスクを取って、投資活動に参加しようとはしない。彼らは、溜め込んだ貨幣の「蓄積されたもの」を、しっかりと、私有し、この「貨幣蓄蔵」を所有権の証しとする。

このような時代に終止符を打とう。
そして、紙幣と、財政赤字と、大規模公共事業、さらには、穏やかなインフレーションの時代を拓こう。実質賃金は低下するが、完全雇用が出来れば、資本主義は救済できる。 

貨幣を生業のシンボルとして把握したラスキンは、ケインズとは、違っていた。

かれは、場合によれば、コミュニティが独自に作る貨幣を容認した。生業によって制御しうる貨幣とはなにか。
それは、「貨幣とは、貴金属の一種である。そして、金銀を蓄積すること自体を‘人生の中で価値のあること’と考える人々への助言であり、倫理的な立場からの勧告のようであった。

信頼関係や道徳共同体の中での貨幣。信頼関係のシンボルとしての貨幣。
このあり方が問われているのである。

多額が投機を象徴し、小額が生業を象徴する。真実の価値とは何か。
| - | 15:08 | comments(0) | trackbacks(0) |









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