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私の教育人生41(本物と映像)−2「二つの地域固有型文化資本」池上惇
━━第41部━本物と映像━━━━
2「二つの地域固有型文化資本」
━━━━━━━━━━━━━━━

「ほんもの=固有価値を担う文化資本」とは何か

 現代の文化資本論はブルュデユーが提起して以来、「人に体化された」文化資本を基軸とし、教育制度を通じて、次世代に継承される文化資本を取り上げてきた。

 これに対して、19世紀の後半期に、J.ラスキンが「ムネラ・プルウェリス」1)
で取り上げた「固有価値」の理論は、現在、文化資本と呼ばれているものを、大別して二つの側面から接近して理論化している。
 ひとつは、人間に体化された自然や社会の固有価値である。これは、目に見えない。
 いま、ひとつは、自然に働きかけて人々がともにつくり出してきた、「有形のもの」である。

 今日は、第一の「人に体化されたもの」を取り扱おう。

この第一の側面は、景観や文化財の歴史性など、「背景を取り込んだ」人間の「創造の‘営み’」が、人間を高め、変化させ、発達させる、ということである。

これは、自然や歴史の固有性の問題と密接に関わる。あるいは、習慣と伝統を継承し発展させる人格である。
つまり、「自然の固有性を踏まえた人が生業を営む中で、創造性を生み出し、高い人格を創り出す」という問題である。ある意味では、生活や仕事における技術に優れ、熟練し、技巧に優れ、正確な判断力を持つ。これは重厚な魅力を持つ職人の存在感である。そして、この職人技が存立できるのは、「自然や歴史が基盤にあって、人の創造したものを享受する力量がつくりだされる」ことによる。これは、享受者の存在である。

この着想を文化資本論に活かすとすれば、「人に体化された文化資本」は、自然、景観、資源や環境の価値と関連している。自然や環境、あるいは、歴史的な景観、文化財の生み出す雰囲気。これらを観察し、固有の価値を認識し、それらを人間の生業のなかに活かす。この生業は、「暮らしに役立ち、同時に、創造的で、芸術的な表現をもつ財」をつくる職人技や職人を生む。
ここでは、職人をつくる自然の景観、素材、伝統の技、仕事や生活の習慣が「文化資本」としての職人をつくる。

これらは、現代では、「多様な文化産業を生む職人とその価値を理解する享受者」と呼ばれる。職人は、伝統や習慣を踏まえて、「真の人間的な創意工夫を要する、どのような国民生産物」をも作ることができる。
W.モリスは、人間が「生活の芸術化」を推進すれば、農業職人、製造業職人、サービス業職人、芸術職人、学術職人などが生まれると考えた。
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