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今日の話題  2010年3月2日
池上 惇

━━第36部━日本型経営とは━━━━━━
私の教育人生 7 龍馬大河ドラマに感動
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


この日曜日、前日の徹夜作業が響いて、オフィスのメンバーにご迷惑
をおかけしながら早々に帰宅、少し休んで元気を取り戻し、久しぶり
に、NHKの大河ドラマ「阪本龍馬」を観た。
凄い迫力で、尊皇攘夷派に処刑されそうな担った山本某を庇い、生き抜く
よう説得して、早朝に、小船で逃がす場面、感動的であった。
その山本が北海道に逃れてロシア正教に出会い、のちに東京のニコライ
堂を建設するのに貢献した由。この話も、素晴らしかった。
人生、度々の閉塞状況に直面するが、このようなときに、断固として
生き抜くよう道を開いてくださる先覚者。
有り難くも、また、仰ぎ見る存在である。

固有価値というものを考えていると、いつも、考えることがある。
それは、「閉塞状況に追いやられて、命が縮まる思い」がするとき、人間
は自分の可能性を信じなくなる、ということだ。
思考を停止して、志を捨てるか。
いや、それくらいなら、命を捨てよう。
このような状況に直面する人々は大変多い。
私なども、若い頃から度々、このような気持ちに襲われた。

私の場合は、その状況は大半、カネが絡んでいる。
まだ、大学院で勉強しながら、アルバイトで凌いでいた頃、結婚して
子供は出来る、病気がやってくる。
家は狭くて、ゆっくり休めない。
カネがないという脅迫感と、精神的な疲労は蓄積すると自分を追い詰
める。
もうだめか。というときに、救ってくださったのは、妻の母、私の父
である。
子供の面倒を見ながら、実家と、下宿(2階6畳くらいの部屋一間)
を往復して何とか、凌がせてくださった。
そのうちに、父がなけなしの金を融通して助けてくれた。
地獄に仏とは、まさにこのこと。運が良かったのだろう。
一旦、ゆとりができると、苦労の体験が逆に、自信に繋がるような
ところがあって、奔りながら研究し、体験の中で、考えたことが、独創的
なアイディアに繋がった。
そのころの研究者で保育労働のことなど、研究対象にしようと考えた
人はひとりもいなかったが、人間の発達を保障する労働としての意味
は大きく、現代では、A.センなどがいう「人間発達の経済学」は、この
ころ、私にとっての、生き甲斐であり、希望であった。
その後も、激動の時代を生きたので、酷い目にあったが、63で定年。
第2の人生に入った。
もう二度と、このような体験はないであろう思っていたら、75歳を
過ぎてからやってきた。
今回は、社会人大学院大学づくりに関わってである。

この仕事は、若い頃のアルバイト時代と似ていて、高齢になって、失業
してからの仕事である。
71歳までは何とか、勤まっていたのだが、意外なことに、自分も創設
に貢献したはずの仕事場から去る事を余儀無くされた。
指導中の大学院生を残したままの引退である。
しかも、年来の希望であった、社会人大学院づくりは、まさに、失業
してから取りくまねばならない。
申請や寄附集めは順調で、本当に、有り難かったが、寄附を活用でき
ない、オフィスの確保や、その他の経費は、原則、言い出した私の責任
で何とかしなければならない。
当初見込みでは、一年間でOKであろうと、ゆっくり構えていたら、
とんでもない。
率直に言って、思いがけない、延期、また、延期。
一年のはずが、もう、4年目である。貯金がどんどん減って、この
ままでは、ダメか、という、土壇場に来る。
このとき、いくら、やりがいのある仕事でも、もう止めようと、何度も
思う。
誰かに代わってもらおうという弱気も出る。
いや、それもご迷惑だと考えてしまう。

私に固有価値があるとすれば、潜在的には、貴重な貢献が社会にでき
るはずであるのに、不思議に、命について、ついつい、考えてしまう。
そのとき、今回は、友人たちが、声をかけてくださった。
妻も、ODが長く、貯金など、期待できないのに、内職で蓄積した
貴重な貯金からの支援。
出費があるなら分担してもいいですよ。
大不況の中なので、限度はありますがねえ。
助かった、と、思った途端、急に、苦労したときに体験したことが、
また、創造的なアイディアとなって、蘇ってきた。
それは、募金活動や地域の調査活動の中ではじめた、
経営者とのヒアリングである。経営者は、孤独の耐え、資金繰りと
闘いながら、日々、不確実性と対決され、永続的な経営や、公益の
実現を目指して努力されている方が多い。
そのなから生まれた哲学は、私どもが築いてきたアカデミズムのそれ
にはない、素晴らしい迫力があった。「企業の中にある公共性」あるい
は「公共資本」「公共元手」の研究。おそらく、ここから、新たな経済
学が生まれるに違いない。
さらには、これらの体験を基礎に、「固有価値の経済学」でノーベル賞
でも狙ってみるか。

やっと、底はうったが、まだまだ、日々のやりくりは甘くない。
一文の借金もせずに、ご好意による、経費分担に徹するのは、並大抵
のことではない。
ときには、嫌がられるし、嫌味も言われる。
まあ、仕方ないさ、と、割り切って、今日も、お願いに精を出す。
在野の自民党ではないが、粛々と頑張ろう。
固有価値は、あるとき、見えては、人生の苦悩の中で、また、消える。
しかし、「仁」というか、「おもいやり」によって蘇る。
わたくしも、前回のブログで教えていただいた、「ゴミの山」のなかの
ネクタイのように、再生していただいた。
勿論、また、見えなくなるときも来るかもしれない。そのときは、
そのとき、また、考えよう。
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