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池上惇(京都大学名誉教授/文化政策まちづくり大学院大学設立準備室室長)によるコラムです。
できるだけ毎日の更新を目指しております。
皆様からのテーマのご希望も受け付けております。
ご希望の方はご連絡下さい。
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池上惇 │ 私の教育人生 第36部 2 「新しい公共と財政金融の再生」(2/19/'10)
今日の話題  2010年2月19日
池上 惇

━━第36部━日本型経営とは━━━━━━
私の教育人生 2 新しい公共と財政金融の再生
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


昨日は東京で創造型経営に関する研究の機会があった。
福原先生から多くの御教示をいただいたが、そのなかに、‘新しい公共’
とはなにか。
今後の大不況克服策と、この概念は、どのように関わっているのか、
ということである。
NPO関係者や企業の社会貢献担当者の中では、いま政府の財政危機
が深刻なので、財政節約政策の一環として、政府がやらねばならない
ことを、民間の非営利組織や企業に肩代わりをして欲しいという雰囲
気が感じられて戸惑いがあるということだ。

たしかに、新しい公共が政府の財政を節約する政策であってはなるまい。
新しい公共とは、私ども、財政学の研究者から見ると、新しいのでは
なくて、「本来の」とか、「財政に固有の」という形容詞が欲しい。
今の財政は、先覚者が開いてきた制度や制度確立の原則とあまりにも
遠いからだ。

財政制度の現代的な枠組みを提起したのは、19世紀の末に公共選択論
を提起した、K.ヴィクセルである。
かれの枠組みは、財政というものは、納税者主権の下で、政党などが
提起する複数のマニフェストのなかから、納税者が税負担と公共サー
ビスの内容をよく吟味して、投票によって予算案を選び、できるかぎ
り、少数意見を尊重して、満場一致に至るまで、議論を尽くすことで
ある。
これによって、多くの階級的な利害を調整しながら「予算は全納税者
のもの」という社会連帯の意識が生まれる。
これによって、多くの政策は、市民の積極的な参加と、自発的で責任
ある活動を期待できる。
この意思決定に当たって、財政が本来なすべき最重要なことは、ヴィク
セルによれば、所得再分配のシステムである。
例えば、全国規模での、累進所得課税、生活保護等最低所得保障制度、
年金、医療保険、地方における保育や教育、文化の保全と活用、住宅の
公的な保障、環境保全などである。

これらのシステム構築には、高額所得者から低額所得者への所得の再
分配、多額の所得が集積する大都市地域から、地方都市や農村への
所得再分配が必要である。
このようなシステムがないことには、市民の生活や仕事における「スター
トラインの平等」が確保できない。
これは、市民の生存条件の確保で、ある国で、市民が平等に、かつ、
活力を持って、公正に競争し、自分の人生を自分で選択しようとすれ
ば、絶対に必要なことである。
ヴィクセルは、これを実現した後に、市民が分権的な組織を創って、
協力し合いながら、仕事を起こし、地域を創り、人を育て、文化を高
めるためのシステムを構想する。

このようなシステムには、地方公共団体、商工会議所、経営者団体、
企業組織、労働組合、協同組合、高度学術や教育のための組織、文化
団体、芸術家の団体、研究機関、社会奉仕機構、全国交通機構、地方
交通機構、通信機構、国際機関など、参加した人々が自己の資金も
出し合い、寄付を集めながら、社会に共通する利益を実現して行く。

ここでは、各組織は、「組織への参加者の共同的な利益」を実現しな
がら、同時に、「社会全体の利益に貢献する公共サービス」を提供する。
そこで、「組織への参加者の共同的な利益」に属する活動を支えるには、
自分たちの会費を使い、「社会全体の利益に貢献する公共サービス」は、
自治体の範囲の活動ならば、自治体の補助金を頂戴し、全国的な活動
として、全体の社会に貢献するならば、中央政府の補助金を当てる。
それぞれに新たな財源が必要なときは、自治ならば、新税に関する
住民投票が必要であるし、国税でも同様であろう。

いま、議論されている‘新しい公共’とは、どうもこの「市民が分権
的な組織を創って、協力し合いながら、仕事を起こし、地域を創り、
人を育て、文化を高めるためのシステム」のことのようだ。
これらは、本来は、市民の自発性を基礎に、利己心を越えた人々の連帯
や協同を基礎にして、社会全体の福祉を高める役割がある。
多くの国々では、福祉についてはいい加減にしてお茶を濁し、「自発
的サービス」のほうは、政府が直営にして権力の行使を有効にし、ある
いは、篤志家に任せて財政を節約しようとしてきた。
新しい公共は、本来の納税者主権の行使である。
この原点に立ち帰って公共の再生、財政の再生に向かおうではないか。
金融についても、この考え方を拡充して、「新しい公共金融」システム
を再生させたい。

****************************

いつも、ブログをご愛読いただき有難う御座います。
私は今、文化政策大学院の設立に全力を挙げていますが、読者の皆様
にも、御関心をお持ちの各位に、と、いうことですが、ご賛同のお願
いを申し上げたく、お願いを掲載いたしました。
ご賛同の折には、ダウンロードの上、ご署名、ご郵送をお願い申し上
げます。
このご署名のお願いは、申請のために必要というきっかけではござい
ますが、本音としましては、申請という当面のことよりも、長い目で
見て、地元学研究のネットワークを広げ、多くの各位と、学術情報を
共有することを希望しております。
したがいまして、申請にはつかってくれるな、と、ご希望の向きには、
学術研究交流の目的以外には、ご住所など、使用いたしません。
申請への使用は遠慮するとのご希望の折は、そのむね、お書き添え
下さいますように。

*****************************

各位へのお願い            2010年2月7日
  文化政策・まちづくり大学院大学設立準備委員会代表者 池上 惇(京都大学名誉教授)
謹啓
 
 光の春の季節、おかわりございませんか。
 各位のご理解を得まして、文化政策大学院大学は、この3月末申請、2011年3月、開学を目ざして順調に準備を進めております。
 このたび、申請の経験者から、従来の事例では、「貴学(今回の申請は文化政策大学院大学)の設立の趣旨に賛同し、開学に際しては、知人等に、受験を推奨するとの、同意書」を、出来るだけ多く集め、提出するのがよいとの御助言をいただきました。
 私と致しましては、確かに必要なことと納得し、今後、ご理解を頂いております知人や、経営人などに、下記の同意書に、ご署名をお願いし、申請の際、文部科学省に提示させていただきたく、お差し支えなければ、何卒、ご賛同、ご協力のご署名を賜りますようお願い申し上げます。
              
                               謹白

同 意 書          2010年 月 日

 文化政策大学院大学の設立にあたって、その趣旨に賛同し、認可の場合には、入学を推奨して、貴学の発展に協力することに同意します。
 文化政策は、社会並びに各地に固有の文化資源を活かし、市民や経営人が主体となって国土、あるいは、当該地域の、ふるさと教育をはじめ、環境、福祉、産業などの総合的振興を図る構想である。
 この構想を社会人が通信制で学修することによって、各地で、貴重な文化資源を現代に活かす、市民の弛まざる努力が支えられ、これを通じて、景観、コミュニティ再生、産業振興、福祉文化等の創造的な発展が実現されることを期待する。
 また、認可後、各地の地元学研究に貢献しつつ、研究ネットワークが失業中の入学希望者等の経済状況にも配慮して、必要なとき、授業料等の分担を全国に呼びかけること、さらに、卒業生等が学位を得て地元大学等の教授となり、地元学の塾を開いて、次世代教育の場を拓き、大学院大学と連携して、地域再生を推進されるよう一層の努力を望みたい。

文化政策・まちづくり大学院大学設立準備委員会代表者  池上 惇 殿
       〒       住所
       職名または元職肩書
氏名                 サインまたは印鑑
            
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