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池上惇(京都大学名誉教授/文化政策まちづくり大学院大学設立準備室室長)によるコラムです。
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池上惇 │ 私の教育人生 第36部 1 「創造型経営を考える」(2/17/'10)
今日の話題  2010年2月17日
池上 惇

━━第36部━日本型経営とは━━━━━━
私の教育人生 1 創造型経営を考える
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


日本経済発展のシンボルであった、トヨタ自動車がアメリカで大量の
リコールとなり、さらに、大幅な売り上げ減少。
アメリカ工場での休業が始まった。
これは、大不況の新たな段階である。
昨年度は、日本のGNPが増大して、ほっとしていたところに、この衝撃。
この大恐慌、そう容易くは、乗り越えられない。
いま、日本の失業率が5%を越える。
欧米並みの10%にゆかないように、これを解決するには、どうすれば
よいのか。
短期的な手当てで、一時的に、テコいれできても、すぐに、失速して
は困る。
このようなとき、思い出すのは、日本の自動車がアメリカに急展開し
て、市場を拡大した頃の状況である。

そのころ、日本の自動車産業は、アメリカ発の「厳しい環境基準」
「排気ガス規制」を世界で最初にクリアし、創造型技術開発の先頭を
走っていた。
対米輸出が急激に伸びたのも、そのためである。
これは、厳しい環境基準や環境保全のための企業負担、投資の増大や
コストに耐え、厳しい消費者の注文にも耐える力量を日本企業が備え
ていた事を示している。
この理由は、なんだろう。
これが明らかになれば、日本型経営のよさや、それを、創造型経営の
モデルとして、今回の不況克服の一助ともなるはずだ。

「解決不可能だと思われるような困難な課題に挑戦し、創造的なアイ
ディアを生みだし、伝統的な職人技を今に生かして、環境や、健康、
ひとり一人の生き甲斐に応えうる商品やサービスを創り出す。これに
よって、創業者や創造型経営を実現したものは、「創業人が享受できる
公正な報酬」を得ることが出来る。これを基礎にして、日本型経営は
発展してきた。」
このように言って見たいものだ。
ところが、日本企業が、いま、欠陥車など「創造の反対物」である
問題外の劣化した品質を生み出すに至った。アイディアを生み出す
土壌も、職人技を持つ人々をも、主要な企業が失いつつあるのか。
これは、有史以来の危機的状況ではないのか。

企業の環境保全コストや、研究投資・教育投資の増大に耐えて、人が
生み出す創造的成果を社会に齎すのが、日本型経営だったとすれば、
いま、これが崩壊を始め、失われようとしているのか。
この現状への反省から日本型経営を考え直してみようではないか。

いま、主要な日本企業の人的投資への配慮が無くなりつつあり、給与
水準が低下してもとにもどらない。
北見昌朗氏の『消えた年収』(文芸春秋社刊2009年8月)によると、
この10年間で給料20兆円が減った。
年収300万円以下は、40%、全国から人が集まったが、給与の低い
サービス業だけが増加した東京、給与デフレの震源地となった関西、
増えたのは派遣だけの名古屋、男性の年収が激減した関東信越、年収
300万円以下が46%の四国、北海道全体の「夕張化」、年収300万円
以下が58%の沖縄、落ち込み率最大の東北などが、指摘されている。
また、森岡孝二氏『貧困化するホワイトカラー』(筑摩書房2009年
5月)によりますと、すでに、2007年の時点で、年収200万円以下の
低所得層は、1700万人、全労働者の30%、そのうちの80%が非正規
労働者でした。とくに、女性の比率が高い。
また、1997年から2007年までの10年間に、年収300万円未満の
所得層は、全体の44%から、56%に増えている。「中流の没落」と
「ワーキング・プア」の急増が特徴。
大多数の企業が人的投資を継続する力量を失っている。
では、日本のお金持ちは、どうかというと、橘木俊詔氏らの研究に
よると、第ニ次世界大戦後は、大企業経営者の所得の高さが目立た
なくなり、起業経営者や、開業医などが高所得者の代表となった
(『日本のお金持ち研究』日本経済新聞出版社、2009年10月、191ページ)。
経営者も余裕を失って長期的な視野を持てない状況にある。
いわば、日本人総貧困化ともいえる深刻な事態。
同時に、このような傾向の中でも、治安の悪化、犯罪の凶悪化の中で、
「ゲイテッド・タウン」とよばれる「金持ちだけの居住区」が日本で
も出現し始め、格差や貧困の対極に、特権とも言える区域が台頭して
きたのも事実である。
ホワイトカラーにまで、リストラが及び、生活保護が急増し、自殺者
が年間3万人を越え、倒産件数も増加が続いるなかで、日本社会全体
が沈没するかのようにさえ見える。

不況知らずといわれたスーパーやコンビニの閉店も続いていて、農村も
都市も、買い物難民が急増し高齢者の生活を直撃している。
各地の緊急医療体制が機能しなくなり、医師不足、看護士の慢性的
不足、介護士希望者の減少など、健康を支える根幹が揺るぎ始める。
所得不足は、いきがいの基のひとつであった旅行や訪問などの事業を
閉塞させている。
学生の海外留学希望までが減り始めた。
最近は、学校の生徒たちも、両親の離婚などが増えている。
その一方では、親子が揃って、登山に挑戦し、明るく笑いながら、
自然を楽しむ光景も増えた。地域を元気にしようと、「文化による
‘まちづくり’」に取り組む若者も増えている。
地域再生、家族再生、が当然のように合言葉となった。
日本型経営の「再生」も、これらの流れの中で、本格的に動き出す
べきときではあるまいか。

政府や自治体の不況対策もエコ・ポイントなど、前倒し需要の増加に
躍起となっている。
急場の対策が精一杯で、環境を守り、人間に投資しながら、創造的
アイディアを結集し、職人技を育てるという、日本型の創造型経営に
立ち返れない。
創造型経営の研究を日本企業の経験に即して研究しようという動きが
必要だ。
日本経済を支える創造型起業を呼び起こし、傾いた経営を再建して、
雇用を確保しよう。

****************************

いつも、ブログをご愛読いただき有難う御座います。
私は今、文化政策大学院の設立に全力を挙げていますが、読者の皆様
にも、御関心をお持ちの各位に、と、いうことですが、ご賛同のお願
いを申し上げたく、お願いを掲載いたしました。
ご賛同の折には、ダウンロードの上、ご署名、ご郵送をお願い申し上
げます。
このご署名のお願いは、申請のために必要というきっかけではござい
ますが、本音としましては、申請という当面のことよりも、長い目で
見て、地元学研究のネットワークを広げ、多くの各位と、学術情報を
共有することを希望しております。
したがいまして、申請にはつかってくれるな、と、ご希望の向きには、
学術研究交流の目的以外には、ご住所など、使用いたしません。
申請への使用は遠慮するとのご希望の折は、そのむね、お書き添え
下さいますように。

*****************************

各位へのお願い            2010年2月7日
  文化政策・まちづくり大学院大学設立準備委員会代表者 池上 惇(京都大学名誉教授)
謹啓
 
 光の春の季節、おかわりございませんか。
 各位のご理解を得まして、文化政策大学院大学は、この3月末申請、2011年3月、開学を目ざして順調に準備を進めております。
 このたび、申請の経験者から、従来の事例では、「貴学(今回の申請は文化政策大学院大学)の設立の趣旨に賛同し、開学に際しては、知人等に、受験を推奨するとの、同意書」を、出来るだけ多く集め、提出するのがよいとの御助言をいただきました。
 私と致しましては、確かに必要なことと納得し、今後、ご理解を頂いております知人や、経営人などに、下記の同意書に、ご署名をお願いし、申請の際、文部科学省に提示させていただきたく、お差し支えなければ、何卒、ご賛同、ご協力のご署名を賜りますようお願い申し上げます。
              
                               謹白

同 意 書          2010年 月 日

 文化政策大学院大学の設立にあたって、その趣旨に賛同し、認可の場合には、入学を推奨して、貴学の発展に協力することに同意します。
 文化政策は、社会並びに各地に固有の文化資源を活かし、市民や経営人が主体となって国土、あるいは、当該地域の、ふるさと教育をはじめ、環境、福祉、産業などの総合的振興を図る構想である。
 この構想を社会人が通信制で学修することによって、各地で、貴重な文化資源を現代に活かす、市民の弛まざる努力が支えられ、これを通じて、景観、コミュニティ再生、産業振興、福祉文化等の創造的な発展が実現されることを期待する。
 また、認可後、各地の地元学研究に貢献しつつ、研究ネットワークが失業中の入学希望者等の経済状況にも配慮して、必要なとき、授業料等の分担を全国に呼びかけること、さらに、卒業生等が学位を得て地元大学等の教授となり、地元学の塾を開いて、次世代教育の場を拓き、大学院大学と連携して、地域再生を推進されるよう一層の努力を望みたい。

文化政策・まちづくり大学院大学設立準備委員会代表者  池上 惇 殿
       〒       住所
       職名または元職肩書
氏名                 サインまたは印鑑
            

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